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コックピット日記
Captain 13
文=高桑久仁昭(日本航空機長)
Text by Kuniaki Takakuwa
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo
“制服”への思い
 制服――。職場で制服を着ている方もいるでしょうし、かつて学生時代に着ていたという方は、もっと多いと思います。
 ご存じの通り、私たち運航乗務員は制服を着用する職業です。これは会社の規則によるもので、乗務中はスラックスにワイシャツ、ブレザーを着用することが義務づけられています。制服の色やデザインは航空会社によってさまざまですが、同じような服装をすることで、お客様やスタッフに私たちが運航乗務員であることを示す意味があり、世界共通のルールになっています。
 運航乗務員の制服には、機長と副操縦士が外見で見分けられるように、国際的な決まり事がいくつかあります。その例としては、ブレザーの袖章やワイシャツの肩章に入る金モールが、機長は4本で副操縦士は3本と決められていたり、機長の被る帽子の鍔には金モールが入っているなどです。
 空港内を歩いている私たちの姿を見かけることもあると思いますが、金モールの違いなどにお気付きでしたか。一般的に、客室乗務員の制服へは関心が高く、何かと話題になるようですが、機会がありましたら、運航乗務員の制服にも注目してみてください。
 さて、毎回感じることですが、制服に袖を通す瞬間……、私はいつも「さぁ仕事が始まるぞ」と気持ちが引き締まります。制服そのものは、運航乗務員として入社したときから着用しているので慣れていますが、やはり安全運航を担うパイロットへ気持ちを切り替えるという意味で、制服を着ることには特別な思いがあります。
 入社当時、訓練中のパイロット要員の制服には金モールがありません。そこから数年間、運航乗務員になるための勉強と訓練を積み重ね、副操縦士になれたときに初めて3本の金モールが入ります。いってみれば、金モールは私たちにとって努力の結晶であり、運航乗務員としての証なのです。
 さらに、副操縦士として10年ほど経験を積み、厳しい訓練を経て機長へ昇格すると、金モールが4本になります。このときの感動は今でも忘れられませんが、機長になれたという喜びと同時に、旅客機1機を任されるという重い責任が課せられます。4本の金モールを見るたびに、そうした責任感を強く抱くのです。
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日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載
 

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