「コックピット日記」は4人の機長が毎月交替で、パイロットに関する話や日常の乗務で出合ったこと、ちょっとした役立つ情報などを、読者の皆さまにお届けするエッセイです。
Captain119 五月の空に文=今森 進介(ボーイング777機長)
5月に入り、待望のゴールデンウィークに突入しています。この季節になりますと、空の上から春の訪れを実感できるようになります。冬の間、褐色へと色を変えていた大地や、雪に覆われていた山裾が、緑の絨毯に変わっていくのです。とくに私が好きな風景は、北海道の新千歳空港やとかち帯広空港周辺の景色です。
空の上から見える広い大地が、パッチワークのようにどこまでも続くその風景は、生命の力強い息吹が感じられます。
一方ヨーロッパにおいてはだんだんと夜が短くなり、明るい時間が延びていきます。空港で働くスタッフも、暗く長い冬の季節に比べてなんとなく笑顔で、明るくなっているような気がします。
さてみなさまはJALボーイング777に装備された新シートをご覧になったでしょうか。一月のロンドン線から導入されたこのシート、いよいよ五月七日からニューヨーク線にも隔日(奇数日)に導入されます。ビジネスクラスとファーストクラスを見学した私の印象は「かつてないプライベート感」というものでした。ぜひ、御搭乗をお待ちしています。
ちなみにJALボーイング777のエンジンは、国内線仕様の777-200と-300がPW社(Pratt&Whitney)、国際線仕様の777-200ER 、-300ERがGE社(GE-Aviation)のエンジンを使用しています。GE90シリーズは、航空機史上最も巨大なエンジンであり、ファンの直径は初期型で3.12メートル、最新型のGE90-115Bでは3.25メートルとなっています。その巨大な直径と併せて特徴的なのが、ファンブレードです。かつてない大量の空気流量を生み巨大な推力を発揮するだけでなく、燃費も向上し、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量削減と騒音の低減にも寄与しています。また世界初となる炭素繊維複合材を用いて造られており、より軽く、鳥などを吸い込んだ際の衝撃にも強くなりました。一枚一枚の形状が美しい曲線になっていますので、ぜひ空港でご覧になってください。ちなみに、このファンブレードは、「実用性に優れたものは形も美しい」例として、ニューヨーク近代美術館に展示されています。
日本航空 月刊誌『AGORA』より(2003年から連載中)

