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コックピット日記
Captain 10
文=高桑久仁昭(日本航空機長)
Text by Kuniaki Takakuwa
イラスト=國友主税
Illustration by Chikara Kunitomo
環境に優しいハイテク機
 皆さんは旅客機に搭乗される際、それがどんな機種か気にされていますか? 搭乗前に外見で分かる方は少数派で、ほとんどの場合は座席に着き、シートポケットにある「安全のしおり」に載っている機種名を見て、理解されるのではないでしょうか。
 日本航空グループではたくさんの種類の旅客機を使用していますが、その中でも今回は私が操縦桿を握っている「ボーイング777」について、触れてみたいと思います。
 我々、運航乗務員の世界でトリプルと呼ばれるこの機種は、世界の最先端を行くハイテク機、さらには環境に優しい旅客機として知られています。初飛行は1994年、その設計には日本航空も参加していて、さまざまな意見が盛り込まれました。
 では、どういった部分がハイテクなのでしょうか。例えば、従来の旅客機は操縦桿を回す際、油圧の力で直接、主翼や尾翼などを動かしていましたが、トリプルでは操縦桿の動きを一度、電気信号に置き換え、コンピューターを通して油圧を操作し、各部位を動かしています。これにより、油圧系統に用いる部品が少なくなり、機体の軽量化が図られています。
 また、見た目で分かる違いもあります。左右の主翼に一基ずつ取り付けられているトリプルのジェットエンジンは、他の機種と比べると明らかに大きなものです。このエンジンは燃費に優れ、最新の300ER型機は最大航続距離が約1万2600キロと、ボーイング旅客機の中で最も遠くまで飛行することが可能で、環境問題にも貢献しています。
 さらに、300型機の特徴として、全長が73.9メートルあり、こちらも最長です。私でも、運航前に旅客機の周囲を点検するたび、「大きいなあ」と実感するほどです。
 ちなみに、この300型機は機体が長いために、前脚(前輪のタイヤ)と主脚(メインのタイヤ)の間隔が長く、誘導路を移動する際には、カーブではみ出さないように注意が必要です。そこで、尾翼に主脚を映すカメラが設置されていて、コックピット内でタイヤの状況をモニタリングしながら、走行しています。この部分はハイテク機といえども、人間に頼っているところです。
 現在、国内線と国際線の両方で活躍しているトリプル。人間の技術とコンピューターの優れた機能、この両者のマッチングによって、より安全で快適な運航を行っています。
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日本航空月刊誌『Agora』2003年より連載
 

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