コックピット日記

「コックピット日記」は5人の機長が毎月交替で、パイロットに関する話や日常の乗務で出合ったこと、ちょっとした役立つ情報などを、読者の皆さまにお届けするエッセイです。

Captain 151 夜間飛行の美景文=今森進介(ボーイング787 機長)

 読者の皆さま、こんにちは。今回は、夜間飛行時に機上からご覧頂けるおすすめの景色をご紹介したいと思います。

 先ず1つ目は、夜景です。ご存じのように、機上は実は素晴らしい夜景スポットでもあります。中でも、羽田空港離陸直後の眼下に広がる東京の夜景は非常に美しく、様々な光が交差する華やかさは格別です。例えば34Rという北北西向きの滑走路での離陸の場合、右旋回時の左窓からは煌めく夜景の中に東京スカイツリーや東京ディズニーランドを見つけることができます。航空機は、滑走路を離れて5分程で上空3000mに達します。この頃コックピットから見えるのは、まるで関東平野を見渡すかのような広大な夜景です。地形をも浮かび上がらせるほど、果てなく続く街の灯りに圧倒されつつ、関東の地を後にします。

写真  そして、海外各地の飛行時にも美しい景色に遭遇します。成田からダラスに向かう際、太平洋を渡り、アメリカ大陸に差し掛かるところで、シアトルの上空を通ることがあります。長い洋上飛行を経た最初に姿を現す港街の目映い夜景は、一見の価値があります。シアトルはボーイング787の生まれ故郷でもありますので、感慨深いものです。
 夜景もさることながら、私が特におすすめしたいのは、機上から見える夜明けの空です。暗闇の世界がうっすらと群青色に変化し、オレンジ色の光が徐々に差し込む様子は、何度見ても幻想的で飽きることはありません(但し、日が出ますと眩しさが増すばかりですので、以降は窓を閉めてお寛ぎ頂くことを推奨します)。

 最後に、夜間飛行ならではのもう1つのおすすめとして、オーロラをご紹介します。ロンドンやヘルシンキなどの欧州方面から成田に向かう際、冬場はオーロラが見えることがあります。多くの場合、その色はグリーンですが、時に赤や紫の光が混在し、消えてはまた現れ、ゆらゆらとその形を変える様子はまさに圧巻です。
 尚、以前は離発着時に禁止されていた機内での電子機器の使用に変更があり、作動時に電波を発しない状態にある機器に限り、飛行中のご使用が可能になりました。これにより、今回ご紹介した様々な景色も写真に収めて頂けるようになりました。
 これからの時期、天の川が上空に見える機会も多くなります。ボーイング787の窓は、ボーイング777と比べて約3割も大きくなっておりますので、夜間飛行の際にも、機上からの美景をぜひお楽しみください。

日本航空 月刊誌『AGORA』より(2003年から連載中)